C#5.0入門書の決定版 – 書評:『スラスラわかるC#』

スラスラわかるC# (Beginner’s Best Guide to Programmin)

一通り読み終えたので、感想も兼ねて書評を。

タイトルでも書いた通り、本書は、C#5.0の入門書として、日本語で読めるものの中ではベストだと思う。C#は結構言語仕様が大きくて、便利機能がたくさんある反面、覚えることも多い。

C#入門者の多くはWindowsでデスクトップアプリが作りたくて学び始めると思うけど、GUIの作り方とC#の書き方を並行して覚えるのはかなり大変。急がば回れで、まず言語仕様を押さえてから、GUIの作り方を学んだほうがよいと思う。

本書『スラスラわかるC#』の良いところは、解説を言語仕様に絞って、適切なボリュームで、十分なサンプルコードとともに説明しているところ。

言語仕様解説のコンパクトさなら『パーフェクトC#』のほうが上だけど、コンパクトすぎてサンプルコードが少ないという問題がある(その割に結構詳しいことまで解説しているので、行間を補いながら読む必要があり、プログラミング経験者でも、C#未経験の場合は読みこなすのが難しい)。

なお、表紙を見ると「プログラミング知識ゼロでも大丈夫」的なことが書いてあるが、鵜呑みにしないこと。これでプログラミング入門は相当難しい。逆に、ifとかforとかいった制御構造にやたら分量をとっていたり、オブジェクト指向とは…的な内容を延々語ってたりすることがないので、プログラミング経験者でも無駄なく学ぶことができる。

今年にはC#6.0が出るけど、それほど大きな言語仕様の変更があるわけではないので、あと2, 3年は本書の価値は失われないはず。

.NET Frameworkのクロスプラットフォーム戦略は、Javaが20年前に通った道をこれから歩むのか…って感じでちょっとつらそうだけど、C#にはUnityという強力なサポーターが生まれたし、C#の言語仕様は静的型付けのオブジェクト指向言語の中ではかなり先進的(Java8には2014年に入ったラムダ式を、C#は2007年のC#3.0でサポートしていた)。Windows環境があるなら、学んで損はない。

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