『JavaScript本格入門』を読了

山田祥寛氏の本はいつもそうなのだけど、「初級者と中級者の橋渡し」という意味では非常に良く出来ている一方、若干粗がある。本書もその例に漏れない。

本書の良いところは、JavaScriptのコアの部分について、丁寧に解説しているところ。特にChapter4とChapter5に載っている、関数定義とJavaScriptのオブジェクト指向構文については、丁寧でわかりやすい。

また、実務上はChapter6、7のブラウザオブジェクト及びDOMも重要。jQueryを紹介している点もポイントが高い。

一方、本書の瑕疵では無いものの、2010年の本なので若干情報が古い。本書で紹介しているテスティングフレームワークのJsUnitは、既に開発終了している(後継プロジェクトにJasmineがある。また、jQueryで使用されているQUnitが、導入が簡単で個人的にはおすすめ)。また、YahooのAPIも現在では利用できない。

また、コード例に、JavaScriptのベストプラクティスから若干外れているものが散見されるのもマイナスポイント。
例:

// 悪い例
var flag = (1 == 1);
if (flag) document.writeln("hoeg");
// マシな例
var flag = (1 === 1); // 比較は===を使うべき
if (flag) { // if文の中括弧({})は省略すべきではない
document.writeln("hoge");
// Chapter5までのサンプルは console.log() でも実行できる
}

コーディングスタイルに関しては、別途、JavaScriptパターン等の書籍を参照したほうがいい。

レベル感としては、「jQueryは一応使えるけど…」とか、「JavaScriptの入門書は1冊読んだけど、クロージャとかプロトタイプとかはよくわからん」とかいった人であればジャストフィット。

現在、JavaScriptの書籍は数多く出てるけど、「初心者向けに簡単な事だけを説明した本」や「中上級者向けに高度なトピックを説明した本」が主で、初級者から中級者への橋渡しを上手にやってくれる本はそう多くない。その点、本書は2014年現在でも希少な存在。

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