本書はC#とWindowsフォームの入門書。Windowsフォームというのは、Windowsデスクトップアプリを作るための技術の1つ。もう1つ新しい技術としてWPF(Windows Presentation Foundation)があり、実はWindowsフォームは既に新規機能の追加は(公式には宣言されていないが、事実上)停止している。
では、Windowsフォームを学ぶ必要がないのか、というとそうでもなく、Windowsフォーム製の既存資産を流用するにはWindowsフォームの知識が必要だったりする。
本書はWindowsフォームでGUIを作る→GUIを制御するC#コードを書くというレッスンの繰り返しで学習していくスタイルになっている。C#のコードの部分はそれなりに解説があるけれど、『スラスラわかるC#』のように、言語仕様だけに的を絞って解説している本に比べると、ややわかりづらい点は否めない。
また、内容的にも、単に言語仕様を解説するだけでなく、適切なクラス設計へのリファクタリングや、堅牢なアプリケーションを作るためのユニットテストの書き方などが含まれている。ユニットテストの書き方などはとてもありがたいが、C#入門の1冊目でここまでやるのは結構つらいのでは。
『スラスラわかるC#』の書評でも書いたけど、1冊目は言語仕様に的を絞った本を読んで、本書のようなGUIの作り方を解説している本は2冊目以降に読むのがおすすめ。
Amazonのレビューを見ると、「難しい」という意見が多いが、C#の基礎を身に着けてからだと、「Windowsフォームの操作の説明が丁寧でわかりやすかった」という印象が強い。ただ、確かにコード部分はレイアウトの問題もあって、若干読みづらい。あと、これはC#の標準的なスタイルなのかわからないが、フィールドを定義するより先にそのフィールドを操作しているメソッドが結構あって、C#の言語仕様的にはOKなんだけど、読みづらいコードだなあと感じる。
レッスンごとに新しくプロジェクトを作る、というスタイルは、必然的に操作に慣れることになるのでとてもよかった。
C#の入門書としてはおすすめできないが、Windowsフォームの入門書としては(他にライバルがいないというのもあるけど)おすすめ。